「子宮復古不全」(子宮収縮不全)の原因と初期症状および治療法

カテゴリ:出産の基礎知識
タグ:産褥期異常

子宮復古不全とは?

子宮復古不全は胎盤片卵膜片凝血塊の残留、子宮内感染などにより子宮の収縮不良が起こり、そのために子宮の退縮(元の大きさに戻る事)が障害される症状です。
分娩後、本来は子宮が収縮し元の大きさに戻ることで、胎盤や卵膜が剥がれた後の傷が塞がり出血が止まり、産褥数日で血性悪露から褐色悪露になり、2~3週間で黄色悪露となります。
なお、経産婦は初産婦よりも子宮復古が早い傾向があります。

原因は?

一般的には胎盤片や卵膜片が子宮内に留まる事が原因で起こります。
他の要因としては、膀胱・直腸の充満、子宮後屈、子宮筋腫の合併などでも子宮収縮が阻害されます。
また、多胎妊娠や羊水過多などにより、子宮筋の過度の伸展が起こり、子宮が疲労して収縮が遅延する事もあります。
更に、極端な早期離床や過度の安静、分娩時の大量出血なども原因になります。

初期症状は?

産褥から2周間を経過後も血性悪露が持続する場合、子宮復古不全が疑われます。
なお、悪露の持続は10日~6週間と個人差が大きく、子宮収縮が良好なほど短期間で消失します。
また、子宮復古不全では産褥日数に対して子宮の大きさが通常よりも大きく、軟らかい状態になります。
超音波検査により子宮内に残留物が認められる事もあります。
また、血性悪露に関連して、子宮内感染や下腹痛も引き起こす場合があります。

出産や胎児へのリスクは?

子宮収縮不全による悪露の増加や滞留により、子宮内膜炎などの感染症を生じた場合、悪露の悪臭(腐敗臭)や圧痛、発熱などが起こります。
また、麻痺性の子宮収縮による下腹痛が起こる場合、子宮腔内に凝血塊、胎盤片、卵膜片が残留している可能性があります。
なお、子宮復古を促進する機能を持つ後陣痛が産褥0~3日頃に現れるため、後陣痛との鑑別のため超音波検査で子宮内の残留物を確認します。

なお、胎児の娩出後の母体側の症状であるため、胎児への影響はありません。

後陣痛

後陣痛は胎盤娩出後に付随的に起こる不規則な反復性の生理的子宮収縮で、初産婦より経産婦の方が強い痛みが現れる傾向があります。
また、授乳中や運動時、排尿時に強くなります。
一般的に、日常生活に支障をきたす極度の後陣痛が生じる場合、子宮復古不全が疑われます。

予防方法は?

予防方法としては、まず出産前後の清潔の保持と、分娩時の卵膜や胎盤の完全摘出の確認が大切です。
また、分娩後の過度の安静はや極端な早期離床は避け、適切な早期離床を心がけます。
更に、分娩後の子宮収縮を促進させるオキシトシンの分泌のために早期授乳や排尿の促進、子宮底輪場マッサージを実施します。

授乳

授乳による乳頭刺激によりホルモンのオキシトシンの分泌が促され、子宮復古が促進されます。
そのため、子宮収縮が遅い場合、すぐに授乳させるのはこのためです。

排尿

分娩直後は妊娠中に増加した循環血液をもとに戻すために尿量が増えます。
また、排尿後は暴行収縮に伴い反射的に子宮収縮が起こるため、尿の排泄は子宮収縮を促進します。
具体的には、膀胱内尿量100mLの排泄により子宮は1cm収縮します。

薬物療法

薬物療法としては、麦各アルカロイド製剤(エルゴメトリン)や下垂体後葉ホルモン剤(オキシトシン)、プロスタグランジン製剤(PGE2)などの子宮収縮薬が用いられます。
但し、子宮収縮薬は後陣痛に注意する必要があります。
また、副作用として、麦各アルカロイド製剤は血管の収縮作用があるため、高血圧や妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、心疾・閉塞性血管障害のある褥婦には症状を悪化させないための慎重な投与が必要です。
また、プロスタグランジン製剤は気管支喘息の褥婦には忌避となっています。

感染症の予防のために抗生物質を投与する場合は、全身倦怠感や薬物アレルギー反応への注意が必要です。

検査方法は?

超音波検査で子宮内の残留物の有無、触診で子宮底の高さや硬度、悪露の性状と量などを確かめます。
また、子宮内膜症の疑いがある場合は、診断のために、白血球数やCRP(C反応性蛋白)の値を調べます。

治療方法は?

子宮内に残留物がある場合、子宮内除去術を実施して残留物を取り除きます。
加えて子宮収縮薬を投与し収縮を促します。
もし感染症が見られる場合は抗菌薬も投与します。

公開日時:2016-08-14 10:54:11

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