「マタニティブルーズ」とは?母子別室よりも母子同室の方が良い?
マタニティブルーズとは?
マタニティブルーズは産後(産褥期)に現れる軽度で一過性のうつ症状になります。
特徴として産後早期に落ち込んだり、涙もろくなったりなど、精神的に不安定な状態になりますが、一過性であり長引くことはありません。
原因は?
様々な複合的な要因が考えられ、一概には言えません。
一般的に考えられている要因としては、妊娠や出産に伴う過剰な不安(心理学的要因)、ホルモンの分泌に関する内分泌学的要因、社会的要因、環境要因などがあります。
心理学的要因
元々神経症(不安障害)である場合や、性格が未熟であること、分娩に対して否定的な考えを持っていたりすることが挙げられます。
また、初産であることや非妊時の月経前緊張症も関係するとされています。
内分泌学的要因
内分泌学的要因としては、妊娠末期のエストロゲン(卵胞ホルモン)の低値、産後3~4日の血中コルチゾールの高値が関係していると言われています。
エストロゲン
エストロゲンは女性ホルモンの1つであり、低値の場合、イライラしたり、精神が不安定になったり、不眠になったりといった症状が現れます。
これは閉経後の女性と同様で、エストロゲン低値による諸症状が現れます。
コルチゾール
コルチゾールはストレスにより多量に分泌されるホルモンであり、高値である場合、視床下部や下垂体、副腎皮質系の機能が亢進され、それがマタニティブルーズの一因と言われています。
また、コルチゾール高値は脳の海馬を萎縮させるため物忘れの原因にもなります。
環境要因
環境要因としては、慣れない育児への不安や出産から来る疲労、子どもの夜泣きによる睡眠不足などが挙げられます。
なお、マタニティブルーズに限らず、一般的に、ストレスや疲労、睡眠不足はうつの主要な原因として知られており、マタニティブルーズにとっても症状を悪化させる主要な要因になります。
そのため、休息と睡眠が何よりも大切です。
また、母子別室よりも母子同室の方がマタニティブルーズになりにくいと言われています。
初期症状は?
主な症状として以下の症状が産後に現れます。
精神的な症状
- 涙もろさ
- 抑うつ
- 予期しない気分の変化
- イライラ
- 不安
- 不眠
- 物忘れ
身体的な症状
- 疲労感
- 頭痛
- 食欲不振
発生する確率は?
日本では、産褥期の妊婦のうち約30%がマタニティブルーズを経験します。
なお、欧米では50~70%にも登ります。
予防方法は?
まず、マタニティブルーズを正しく理解(褥婦の約30%が経験し、一過性であること)することが大切と言われています。
出産に対する不安や否定的な考えに対しては、妊娠期に妊婦が自分の分娩をイメージして分娩方法や分娩時の過ごし方のプランを立案するバースプランを行うことが挙げられます。
また、様々な理由から望まない分娩となった場合、産褥期に分娩体験を思い起こし、これまでのわだかまりや失敗体験を再考し、肯定的に捉えようとするバースビューを実施することで、つらい体験、否定的な体験を最小限にするという方法があります。
なお、環境要因で述べたように疲労や睡眠不足が主要因の場合が多いため、十分な休息、睡眠をとることが大切になってきます。
検査方法は?
スクリーニング検査として、自己質問票による評価が行われ、合計点が8点以上でマタニティブルーズの疑いがあります。
自己質問票の質問例としては「気分がふさいでいないか」や「泣きたいとは思わないか」、「不安や心配事はないか」、「リラックスしているか」、「落ち着いているか」などが問われます。
治療方法は?
マタニティブルーズは一過性の症状であるため、長引くことはなく、通常は治療は不要です。
但し、マタニティブルーズが産後うつ病に繋がる場合があることが指摘されており、もし産後1ヶ月経っても症状が続く場合は産後うつ病の診察を受けたほうが良いでしょう。
公開日時:2017年09月09日 11時32分
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