「子宮頸管裂傷」とは?巨大児の分娩や焦っていきむと起きやすい?
子宮頸管裂傷とは?
子宮頸管裂傷は分娩時に外子宮口から子宮下部の下端までの範囲で裂傷が起きる症状です。
子宮頸管は子宮と腟の間のちくわ状の長細い管のような形ですが、出産時は子宮口が10cmまで引き伸ばされ(全開大)胎児が娩出されます。
その際に子宮頸管は縦の厚みがほぼ無くなる程度まで横に大きく引き伸ばされますが、その際、後述する要因によって急速に引き伸ばされた場合、子宮頸管の下部(腟側)が裂傷する場合があります。
原因は?
子宮口が完全に開く前に、早くいきみ過ぎた場合や、吸引分娩や鉗子分娩、骨盤位牽出術などの産科手術、子宮収縮剤の過剰投与などによる急激な娩出により子宮頸管が急速に伸展された場合に発生しやすい裂傷です。
また、巨大児、反屈位などによって子宮頸管が過剰に伸展された場合にも発生します。
つまり何らかの要因によって、子宮頸管が急速に引き伸ばされる事で起こる症状です。
また、子宮頸管縫縮術や子宮頸部円錐切除術を以前行っている場合にも縛っていた部分が裂傷を起こしやすい状態になります。
初期症状は?
典型的な症状として、子宮収縮が良好であるにも関わらず、鮮紅色の出血があります。
本来、子宮の収縮により胎盤の剥離部の傷が塞がり出血が止まりますが、子宮収縮が正常であっても出血が認められる場合は、剥離部以外からの出血が疑われ、子宮頸管の裂傷の検査が行われます。
出産や胎児へのリスクは?
母体
娩出後に止血のための縫合処置を行います。
但し、血管部分の損傷の程度により、貧血や出血性ショックに至る可能性があります。
その場合、胎児の娩出後に早急な止血や輸血、抗ショック療法が必要になります。
胎児
通常は分娩中に起きる裂傷のため、胎児への大きな影響はありません。
検査方法は?
「頸リス鉗子」という幅の広いピンセットのようなものを腟から挿入して子宮頸管を挟み、子宮頸管部を腟入口まで引っ張りだして裂傷の有無や程度などを診断します。
治療方法は?
引き出した子宮頸管の裂傷部分を縫合して治療します。
まれに、裂傷が子宮頸部だけではなく子宮全体に及んでいる場合があり、その場合は開腹手術が必要になります。
公開日時:2016年03月18日 17時07分
おすすめの書籍!
胎児の成長や母体の変化については1日ごとの胎児の成長が詳解されている定番書「はじめての妊娠・出産安心マタニティブック」がお勧めです。この本はアメリカで大ベストセラーとなった「The Pregnancy Journal」の日本版になります。
なお、赤ちゃんの成長状況はどうしても不安になってしまいますが、お母さんにできることは必要な栄養素をしっかりと摂り、赤ちゃんの成長を助けることです。こちらの記事ではその栄養素を摂取する理由とおすすめのサプリメントを紹介していますので、是非ご参照ください。