偶然見つかる「子宮筋腫」とは?術後の妊娠確率はどの程度落ちる?
子宮筋腫とは?
子宮筋腫は子宮筋層に発生した良性の平滑筋腫で、発生部位により、漿膜下筋腫、筋層内筋腫、粘膜下筋腫に分類されます。
特に近年の晩婚化による高齢出産の割合が高くなるのに比例して、子宮筋腫合併妊娠率も上昇しています。
各部位の筋腫の詳細は以下のとおりですが、筋腫は単発性よりも多発性のものが多く、全子宮筋腫の内、60~70%が多発性筋腫です。
漿膜下筋腫
子宮漿膜直下に発生し発育した筋腫です。
筋層内筋腫
子宮筋層内に発生し発育した筋腫です。
3つの内で最も発生頻度の高い部位の筋腫です。
粘膜下筋腫
子宮内膜の直下に発生し子宮腔内に向けて発育した筋腫です。
原因は?
筋腫は突然変異により起こるため、明確な原因は不明ですが、女性ホルモンの1つのエストロゲンが関係しているという説があります。
初期症状は?
明確な初期症状はありません。
変性や感染などを伴うもの以外は圧痛もありません。
また、子宮筋腫の約半数は無症状であり、産科での過多月経、月経困難症、下腹部腫瘤感、圧迫症状、不妊などの検査において、偶然見つかることが多いのが現状です。
出産や胎児へのリスクは?
妊娠による影響
妊娠によるホルモン環境の変化や子宮血流の変化によって子宮筋腫核が増大したり、変性することがあり、圧迫症状や疼痛を引き起こします。
子宮筋腫による分娩や胎児への影響
子宮腔に変形を来す子宮筋腫の場合、切迫流産や切迫早産のリスクが高まります。
また胎盤付属部位に子宮筋腫が存在する場合は、常位胎盤早期剥離のリスクが高くなります。
更に子宮腔の変形に伴い骨盤位などの胎位異常が起きる可能性も高まります。
分娩時においては、子宮筋腫が産道通過障害を引き起こす可能性があり、分娩時の胎児死亡のリスクを回避するために帝王切開術を実施する場合があります。
母体への影響
子宮筋腫は癒着胎盤や、分娩後の子宮収縮を妨げる場合があり、弛緩出血による大量出血を引き起こす事があります。
また、同様に産褥期における子宮復古不全を引き起こす可能性もあります。
不妊症への影響
筋腫以外に異常のない不妊症患者に筋腫核出術を行うと,術後に約50%の妊娠率が得られるというデータがあります。
発生する確率は?
子宮筋腫の発生率は30歳以上の女性で20~30%です。
また、子宮筋腫は約95%が子宮体部から、約5%が子宮頸部から発生し、稀に子宮腟部からも発生します。
予防方法は?
突然変異であるため予防方法はありません。
検査方法は?
多くの場合、臨床症状の問診や内診、超音波検査で診断します。
治療方法は?
妊娠中や帝王切開中の子宮筋腫の摘出(子宮筋腫核出術)は母体や胎児にとって危険であるため忌避とされており原則行いません。
但し、妊娠中の子宮筋腫の変形などで強い疼痛が起きた場合など、やむを得ず子宮筋腫核出術を実施する場合はあります。
公開日時:2016年07月30日 11時18分
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