「先天性梅毒症児」の感染ルートと初期症状および予防法

カテゴリ:妊娠の基礎知識
タグ:母子感染症

先天性梅毒症とは?

先天性梅毒は、母体が梅毒トレポネーマに感染している場合に、経胎盤感染することで発症します。
症状の出方には早発性と遅発性があり、それぞれ早期先天性梅毒晩発性先天性梅毒と呼びます。

早期先天性梅毒の症状

出生時に梅毒疹、骨軟骨炎、鞍鼻(あんび)などの症状を呈します。

晩発性先天性梅毒の症状

乳幼児期には症状を呈さず、学童期以降になってHutchinson(はっちんそん)三徴候などの症状が現れます。
※Hutchinson三徴候は実質性角膜炎、内耳性難聴、Hutchinson歯の3つの兆候を示します。

感染ルートは?

主に梅毒に感染したパートナーとの性交渉により、皮膚や粘膜の小さな創から侵入することで感染します。
妊娠4ヶ月未満の胎盤完成期以降に経胎盤感染により胎児に感染するため、妊娠4ヶ月までに梅毒血清検査を実施し、胎盤完成期以前に治療(駆梅療法)を始める必要があります。

なお、妊娠中期以降に梅毒に感染した場合は、胎児に感染するまでに6週間を要するため、その間に治療を行います。

初期症状は?

梅毒の潜伏期間は3週間~6週間程度あり、その間は症状は現れません。
初期症状は痛みのない小豆くらいのしこりが性器にできたり、太もものリンパ節の腫れが生じます。(第1期梅毒
3ヶ月以降は全身に「バラ疹」と呼ばれる小さなブツブツができます。(第2期梅毒
3年以降になると、皮下組織に大きなしこりができるようになりますが、第2期梅毒の症状が3年続けば、通常はここまで来るまでには梅毒の症状に気づき、治療しているはずです。(第3期梅毒

出産や胎児へのリスクは?

胎児異常や流産を引き起こす場合があります。
特に妊娠34週を過ぎてから梅毒の治療を受けた場合や治療を受けなかった場合、赤ちゃんは高い確率で梅毒トレポネーマに感染ます。
梅毒トレポネーマに感染した胎児の40%は流産、死産もしくは出生後すぐに死亡します。
また、無事出生できた先天性梅毒症児には、出生後、梅毒疹、骨軟骨炎、鞍鼻(あんび)などの早期先天性梅毒、Hutchinson三徴候などの晩発性先天性梅毒の症状が現れます。

なお、母体側では、完治後は母乳を制限する必要はありません。

予防方法は?

妊娠が分かった後、できるだけ早めにパートナーと共に梅毒の検査を受け、もし陽性なら性交渉をしないことです。
なお、コンドームを使用しても、性器以外の病変部に接触することで感染する恐れがあり、確実ではありません。

検査方法は?

妊婦定期健康診査で血液検査で感染有無が検査されます。
検査方法として、STS法(梅毒血清試験)と、TPHA法(梅毒トレポネーマ血球凝集試験)、FTA-ABS法(蛍光トレポネーマ抗体吸収試験)の3つがあります。
確定診断には、STS法とFTA-ABS法の2つが用いられます。
※STS法はカルジオリピンを抗原とし、TPHA法、FTA-ABS法はTPを抗原とします。
※STS法については偽陽性(生物学的偽陽性反応)となる可能性があります。

なお、現在はSTD(性感染症)チェッカーという方法があり、病院に行かずとも、「郵送検診」 での検査を受けることができます。

STS法(梅毒血清試験)

梅毒トレボネーマに感染後、4~6週以降に血中に現れる抗体反応です。
TPHA法やFTA-ABS法に比べて早期診断や治療効果の判定に適しています。
その反面、梅毒以外の病気などにより生物学的偽陽性反応となる可能性があります。

TPHA法(梅毒トレポネーマ血球凝集試験)

梅毒トレボネーマに感染後、3ヶ月以降に現れる免疫抗体反応です。
また、検査が容易で梅毒の血清診断としては有用ですが、感染後は陽性反応が出続けるため、治療の効果を判断するための検査方法としては使用できず、このためSTS法と組み合わせた診断が行われます。

FTA-ABS法(蛍光トレポネーマ抗体吸収試験)

FTA-ABS法は、Fluorescent Treponema Antibodyabsorption の略であり、梅毒トレポネーマの抗体を吸収させて蛍光発光させるという意味になります。
具体的には、TP抗体の有無を調べるために、間接蛍光抗体法という特殊な方法で抗体を光らせ、顕微鏡で光っているかどうかで判定します。
光っていればTP抗体が存在する、つまり梅毒に感染しているという事になります。

治療方法は?

妊娠中に胎児とともにペニシリン系抗生物質(「バイシリン G」等)による治療が必要です。

公開日時:2016-04-24 18:51:00

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