「ショックインデックス」のガイドラインと「産科DIC」のスコア表
ショックインデックスとは?
産科ショックの内、約90%が出血性ショックであり、この出血性ショックの程度の目安として使用される出血量の評価指数がショックインデックス(SI)です。
ショックインデックスは次の計算式で求められます。
ショックインデックス(SI) = 心拍数 / 収縮期血圧
なお、妊婦の場合のショックインデックスは、以下の表のように非妊婦と比較して、推測出血量は多くなります。「産科危機的出血への対応ガイドライン」においては、妊婦の SI 1.5 は乏尿、末梢循環不全などのバイタルサイン異常が起こり得る状態であり、産科危機的出血を宣言し直ちに輸血を開始する目安となっています。
ショックインデックス(SI) | 1 | 1.5 | 2.0 |
---|---|---|---|
非妊婦の推測出血量 | 750~1500mL | 1500~2000mL | 2000mL以上 |
妊婦の推測出血量 | 1500mL | 2500mL | --- |
※後述する産科DICのスコアが8点以上の場合も輸血が開始されます。
関連記事:「産科ショック」の原因と抗ショック療法および抗DIC療法
産科DICとは?
産科DICのDICは「Disseminated Intravascular Coagulation(播種性血管内凝固症候群)」を省略したものです。
これはさまざまな重症の基礎疾患(常位胎盤早期剥離、羊水塞栓症、DIC型出血、子癇など)のために、血管内の過凝固(過剰な血液凝固反応)により、全身の微小血栓が多発し、今度はその血栓を溶かす働きのある物質(線維素溶解系物質)や血液を固まりにくくする物質(凝固阻止因子)が過剰に分泌され、結果として過凝固と二次線溶が繰り返されることによる多臓器不全や出血を来す疾患です。
つまり「過凝固に伴いできる血栓による血管の閉塞」、「凝固阻止因子の過剰分泌による止血しにくい出血」という相反する状況が同時に起こる事で治療を難しくします。
産科DICのスコア表
以下の項目において、該当する項目の合計スコアでDICの程度を診断します。
8点~12点:DICに進展する可能性が高い
13点以上:DIC
基礎疾患 | 点数 |
---|---|
早剥 (児死亡) | 5 |
〃 (児生存) | 4 |
羊水塞栓 (急性肺性心) | 4 |
〃 (人工換気) | 3 |
〃 (補助換気) | 2 |
〃 (酸素療法) | 1 |
DIC型出血 (低凝固) | 4 |
〃 (出血量:2L以上) | 3 |
〃 (出血量:1 ~ 2L) | 1 |
子癇 | 4 |
その他の基礎疾患 | 1 |
臨床症状 | 点数 |
---|---|
急性腎不全 (無尿) | 4 |
〃 (乏尿) | 3 |
急性呼吸不全 (人工換気) | 4 |
〃 (酸素療法) | 1 |
臓器症状 (心臓) | 4 |
〃 (肝臓) | 4 |
〃 (脳) | 4 |
〃 (消化器) | 4 |
出血傾向 | 4 |
ショック (頻脈:100以上) | 1 |
〃 (低血圧:90以下) | 1 |
〃 (冷汗) | 1 |
〃 (蒼白) | 1 |
検査 | 点数 |
---|---|
FDP:10~/dL以上 | 1 |
血小板:10万/~以下 | 1 |
フィブリノゲン:150㎎/dL以下 | 1 |
PT:15秒以上 | 1 |
出血時間:5分以上 | 1 |
その他の検査異常 | 1 |
公開日時:2017年06月01日 02時22分
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