「羊水過少症」の原因と初期症状および治療法

羊水過少症とは?

羊水量が100mL以下の場合を羊水過少と定義し、何らかの臨床的な自覚症状が見られる場合を羊水過多症と診断します。

原因は?

胎児の尿の産生が不十分であったり、羊膜腔から羊水が漏れる事(羊水流出)が主な原因です。
全体では、原因の約50%が羊水流出(前期破水)です。
妊娠中期では、原因の約50%が胎児異常、妊娠後期になると胎盤機能不全が多くなってきます。

2つの主要因の内訳

以下が胎児尿産生障害と羊水の慢性流出の主な要因になります。

胎児尿産生障害

  • 胎児奇形(腎無形成、腎低形成、嚢胞性腎疾患、尿路閉塞)
  • 腎血流量の低下(胎盤機能不全)
  • 胎児発育不全
  • 過期妊娠

羊水の慢性流出

  • 前期破水

母体、胎児別の要因

また、母体、胎児別の要因は以下のとおりです。

母体側の要因

  • 前期破水
  • 胎盤機能不全(妊娠高血圧症候群、抗リン脂質抗体症候群、膠原病)

胎児側の要因

  • 胎児腎・泌尿器系異常(腎無形成、腎異形成、尿路閉塞)
  • 胎児発育不全
  • 双胎間輸血症候群(供血児)

初期症状は?

妊娠週数のわりにお腹が大きくない、胎動が感じられないなどで気づく場合もありますが、多くの場合は明確な初期症状はなく、経腹超音波検査で発覚します。

出産や胎児へのリスクは?

胎児への合併症としては、胎児機能不全、胎児肺低形成、関節拘縮、四肢変形のリスクがあります。

胎児機能不全

胎児機能不全の要因として、変動一過性徐脈などの胎児心拍異常が生じる可能性があります。
特に分娩中に起こる事が多いため、人口羊水注入を実施しながらの管理が必要になる場合があります。
もし胎児機能不全に陥った場合は、帝王切開などの急速逐娩術が必要になります。

下部尿路閉塞による障害(呼吸障害、腎機能障害)

羊水過少の場合、胎児尿路系の異常により、尿路が詰まり閉塞する症状である下部尿路閉塞が起こっている場合があります。
胎児から放出された尿は羊水になるため、ここで言う、胎児の「尿」は「羊水」でもあります。
このため下部尿路閉塞により、尿の排出が十分に行えない場合、羊水が極端に少ない状態(羊水過少)になります。
羊水が過少の場合、胎児の肺の発育が阻害されて胎児肺低形成が生じ、これは出生後に重篤な呼吸障害を引き起こす可能性があります。
さらに、尿路閉塞により尿路に尿が溜まった状態では、腎臓も含めた、上部の尿路(膀胱、尿管、腎臓)にも悪影響を与え、腎機能障害を引き起こす可能性もあります

検査方法は?

経腹超音波検査で調べます。
最大羊水ポケットが2cm以下であるか、羊水インデックス(AFI)が5cm以下の場合に羊水過少と診断されます。
※最大羊水ポケットや羊水インデックスについては「「羊水過多症」の原因と初期症状および治療法」をご参照ください。

治療方法は?

妊娠期

定期的に経腹超音波検査を実施し、胎児モニタリングで胎児を観察しながら、子宮の収縮状態や破水の有無なども観察します。
また、必要に応じて人口羊水注入を実施できるように準備します。
羊水流出が認められる場合は、感染症のリスクがあるため、前期破水に対する対策も取ります。

胎児が下部尿路閉塞の場合は、尿路羊膜腔シャント術を実施する場合があります。

尿路羊膜腔シャント術とは?

シャントチューブと呼ばれる専用のチューブを胎児の膀胱と羊水腔の間に通し、尿路以外から尿を排出させる手術です。
なお、このシャント術を実施するためには、「下部尿路閉塞(LUTO)である事」、「羊水過少である事」、「男児である事」、「染色体異常やそのほかの形態異常がない事」、「腎機能が良好に保たれている事」などの条件があります。
しかし尿路羊膜腔シャント術を実施した場合でも胎児の生存率や腎機能障害の発生率は決して良いとは言えないのが現状のようです。

分娩時

微弱陣痛や遷延分娩になりやすく、常位胎盤早期剥離のリスクもあるため、子宮の収縮状態を注視します。
また、臍帯圧迫による胎児の心音低下の可能性もあるため、人口羊水注入の準備もしておきます。

公開日時:2016-04-10 18:26:52

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