「臍帯下垂」や「臍帯脱出」とは?トレンデレンブルグ体位の治療とは?
臍帯下垂および臍帯脱出とは?
臍帯下垂は臍帯(へその緒)が子宮口付近に垂れ下がってしまった状態、臍帯脱出は臍帯が子宮口から飛び出てしまった状態です。
一般的には、臍帯下垂の状態のまま破水した場合、臍帯脱出になります。
時期 | 臍帯の状態 | |
---|---|---|
臍帯下垂 | 破水前 | 胎児先進部の側方あるいは下方に臍帯が存在する |
臍帯脱出 | 破水後 | 胎児先進部より下方に臍帯が脱出する |
原因は?
胎児先進部と子宮下部との間隙が広い場合に起こりやすい症状です。
骨盤位や横位、羊水過多、多胎妊娠、狭骨盤の場合や、臍帯が長い場合(過長臍帯)や臍帯が卵膜の下部に付着している場合(臍帯下部付着)にも起こる可能性があります。
初期症状は?
母体側で現れる自覚症状は特にありません。
出産や胎児へのリスクは?
自然整復できなかった場合、帝王切開による分娩になる可能性があります。
また、臍帯脱出が起きた場合は、胎児機能不全となるリスクがあり、緊急帝王切開で娩出しても多くの場合で予後不良となります。
予防方法は?
臍帯下垂の予防や自然整復の方法としてトレンデレンブルグ体位や膝胸位(しつきょうい)があります。
トレンデレンブルグ体位(骨盤高位)
仰向けの状態で、足を台の上に乗せ、腰部(骨盤)を頭部よりも高い状態を保つ姿勢をとることで、臍帯が上方向に移動し易いようにします。
膝胸位
膝胸位は逆子(骨盤位)を治す時にも行われる姿勢です。
うつ伏せ状態で頭を枕に付けて胸を下げ、逆にお尻を持ち上げた姿勢を1回につき約15分間とり、臍帯が上方向に移動し易いようにします。
検査方法は?
子宮口開大前であれば、超音波検査で診断することができます。
子宮口開大後の場合は、内診時に臍帯を触知することで診断します。
治療方法は?
臍帯下垂
トレンデレンブルグ体位と呼ばれる骨盤高位の姿勢や膝胸位の姿勢が自然整復させるのに有効です。
もし自然整復させる事ができなかった場合、破水前に帝王切開術で胎児を娩出します。
但し分娩開始後に臍帯下垂が分かった場合、胎児機能不全を引き起こす場合があるため緊急帝王切開を実施します。
臍帯脱出
緊急帝王切開で娩出します。
なお、臍帯脱出では多くの場合で胎児徐脈が認められ、予後不良になる場合が多い疾患です。
公開日時:2017年05月21日 18時56分
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