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「絨毛性疾患」の原因と初期症状および治療法

絨毛性疾患とは?

絨毛は胎盤の外側に密生している非常に細い糸状組織で、子宮の壁に入り込むように密生し、胎児は絨毛をポンプのように使って母親の血液から酸素と栄養を取り込みます。
この絨毛に起きる疾患を絨毛性疾患と呼び、絨毛性疾患は以下の6つの疾患の総称です。
  • 全胞状奇胎
  • 部分胞状奇胎
  • 侵入胞状奇胎
  • 絨毛癌
  • 胎盤部とロホブラスト腫瘍
  • 存続絨毛症

全胞状奇胎

胎児の代わりに絨毛が変化してできた小さな袋を嚢胞と呼び、この嚢胞が集まった状態を胞状奇胎と呼びます。
嚢胞が集まった状態がぶどうの房のように見えることから「ぶどう子」とも呼ばれますが、胞状奇胎では、子宮内に胎児は存在しません。
全胞状奇胎はすべての絨毛が嚢胞化しており、胎児成分を欠く状態です。

部分胞状奇胎

部分胞状奇胎は一部の絨毛が嚢胞化している状態です。

侵入胞状奇胎

子宮筋層に奇胎絨毛が侵入している状態です。
子宮の筋肉の中に胞状奇胎の細胞の一部が侵入して腫瘍性病変を形成します。
このため癌の肺への転移のリスクがあります。

絨毛癌

絨毛細胞にできた悪性腫瘍であり、その殆どが妊娠性絨毛癌です。
全胞状奇胎の絨毛癌のリスクは正常妊娠と比較した場合1000倍以上高くなります。

胎盤部トロホブラスト腫瘍

胎盤部トロホブラスト腫瘍(PSTT)は胎盤部の絨毛細胞にできる腫瘍です。
※トロホブラストは絨毛細胞を意味します。

存続絨毛症

子宮内容除去術後も hCG の値が正常値に戻らず、侵入胞状奇胎や絨毛がんが疑われるが、病理組織検査(顕微鏡検査)では確認できない経過非順調型の状態です。

原因は?

受精時の偶発的な細胞分裂の異常が原因です。
全胞状奇胎は核が消失、もしくは核をもたない卵子が原因で1精子受精(男性の染色体だけで受精卵が形成される事)の場合に起こります。
部分胞状奇胎は正常な卵子に2つの精子が同時に受精することによる2精子受精(染色体の数が多い3倍体(69XXX、69XXYなど))の場合に起こります。
但し、現在のところ、その根本的な発生原因は分かっていません。
なお、遺伝性はありません。
一度胞状奇胎を発症した人が再び胞状奇胎を発症する確率は約2%です。

受精卵の染色体

染色体は、卵子と精子でそれぞれ23本の染色体を有しています。
この内の1本は性染色体であり卵子はXのみ、精子はXかYのどちらかです。
通常は受精するとそれらが融合し46本のXYまたはXX染色体となり(これを46XYや46XXと表します)、細胞分裂を繰り返して赤ちゃんになります。
3倍体は1つの卵子に2つの精子が融合してしまうことで、69XXXや69XXY、69XYYになってしまう症状です。

初期症状は?

悪心や嘔吐などの妊娠悪阻の症状が現れたり、性器出血が認められる場合が多いです。

出産や胎児へのリスクは?

子宮内容除去術で奇胎を除去することで、殆どの場合 hCG は正常化しますが、侵入胞状奇胎や絨毛癌の場合は、癌の肺転移のリスクがあります。
侵入胞状奇胎は一種の「前癌状態」であり、他の胞状奇胎に比べて肺転移の確率が高くなります。
絨毛癌では更に高確率での肺転移のリスクがあります。

胞状奇胎の約5%、侵入胞状奇胎の30~40%、絨毛癌の70~90%で肺転移が認められます。

発生する確率は?

胞状奇胎は約500妊娠に1回、300分娩に1回の割合で発生します。
40歳以上では発生率が高くなります。
また、胞状奇胎妊娠の内、10~20%は侵入胞状奇胎、1~2%は悪性の絨毛癌に移行します。

予防方法は?

予防方法はありません。

検査方法は?

超音波検査において子宮腔に高輝度な多数の嚢胞像が認められます。
血液中や尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が異常値(高値)になります。
胸部X線やX線CTで癌の肺転移の有無を調べます。

治療方法は?

胞状奇胎の一般的な治療法としては、子宮内容除去術により奇胎を除去します。
なお、40歳以上の高年の場合で且つ妊孕能温存(にんようのうおんぞん)の希望がない場合は子宮摘出術を実施する場合があります。
奇胎娩出後は hCG が低下し正常値に戻り、それが維持されることを確認します。
hCG の値が正常化した後も、絨毛癌の続発の早期発見のため hCG の定期測定が必要になります。

化学療法

存続絨毛症(経過非順調型)の場合は、メトトレキサート(MTX)やアクチノマイシンDなどの化学療法を実施します。

公開日時:2016-10-23 21:41:48

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