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「過強陣痛」の原因と初期症状および治療法

カテゴリ:出産の基礎知識
タグ:娩出力異常

過強陣痛とは?

過強陣痛は子宮収縮が異常に強く、その持続が異常に長い陣痛の事を言います。

過強陣痛の定義

日本産科婦人科学会では過強陣痛の子宮内圧は、子宮口開大4~6cmのとき70mmHg以上、子宮口開大7~8cmのとき80mmHg以上、子宮口開大が9cmから分娩第2期のとき55mmHg以上と定義しています。
しかし、実際には子宮内圧を測定することは困難であるため、陣痛周期、持続時間から子宮内圧を推定します。
以下の表のように、一般的には分娩第2期の場合、陣痛周期が1分以内かつ、陣痛持続時間が1分30秒以上の場合に過強陣痛に該当します。
陣痛3要素子宮口開大度
4~6cm7~8cm9cm~分娩第2期
正常陣痛(平均)子宮内圧40mmHg45mmHg50mmHg
陣痛周期3分2分30秒2分
持続時間70秒70秒60秒
微弱陣痛子宮内圧10mmHg未満10mmHg未満40mmHg未満
陣痛周期6分30秒以上6分以上初産婦:4分以上
経産婦:3分30秒以上
持続時間40秒以内40秒以内30秒以内
過強陣痛子宮内圧70mmHg以上80mmHg以上55mmHg以上
陣痛周期1分30秒以内1分以内1分以内
持続時間2分以上2分以上1分30秒以上

原因は?

原因として最も多いのが陣痛促進薬の不適切な投与(過剰投与)です。
また、微弱陣痛と共通の原因でもある、軟産道強靭胎位・胎勢異常回旋異常狭骨盤児頭骨盤不均衡(CPD)などにより産道の抵抗が大きくなる事が原因となる事があります。
特に回旋異常では陣痛促進薬の効果が現れにくく、陣痛促進薬の投与を増量した場合、回旋異常が直った際に、同時に薬による過剰な陣痛が起こり過強陣痛となる場合があります。
そのため、内診において必ず回旋の状況を確認します。

また、産婦の緊張が過度に高い場合も急速に分娩が進み過強陣痛となる事があります。
この場合はリラクゼーション法や呼吸法での産婦の緊張緩和が有効です。

陣痛促進薬の不適切な投与とは?

陣痛促進薬はオキシトシンプロスタグランディンF2aプロスタグランディンE2などのホルモン剤です。
この内、オキシトシン、プロスタグランディンF2aは点滴、プロスタグランディンE2は経口薬で投与します。

投与中は、陣痛促進薬の投与量が基準範囲内である事を確認しつつ、母体バイタルサイン(血圧と脈拍数)を1時間間隔で監視し、更に分娩監視装置で子宮収縮と胎児心拍数を連続的に監視しながら行います。
それでも陣痛促進薬の過剰投与は起こってしまいます。

なお、陣痛促進薬の投与前にはその必要性や方法、効果、過強陣痛を始めとするリスクについて説明され、同意を得た上で実施します。
しかし、微弱陣痛であれば、胎児の命を守るためには選択肢はなく、同意せざるを得ないのが現状です。

初期症状は?

初期症状は特になく、陣痛促進薬の投与や、軟産道強靭により、急速に陣痛が進行し、あまりの陣痛の強さに産婦は悶絶するような痛み(じっとしていられずベッドから転がり落ちるくらいの痛み)に襲われます。

出産や胎児へのリスクは?

子宮胎盤循環障害臍帯圧迫により、胎児が低酸素状態に陥り、胎児機能不全になるリスクがあります。
また、帝王切開歴のある経産婦では、子宮破裂のリスクもあります。

予防方法は?

根本的な予防方法はなく、胎位・胎勢異常、回旋異常、狭骨盤、児頭骨盤不均衡(CPD)など、原因に応じた予防処置が必要になります。
なお、原因として最も多いのが陣痛促進薬の過剰投与であり、これは医師や助産師に委ねるしかありません。

検査方法は?

分娩監視装置での陣痛周期、持続時間、発作時間が長く、間欠時間が短くなっていく度合いなどから診断します。

治療方法は?

過強陣痛の主な要因は陣痛促進薬の不適切な投与であるため、直ちに投与を中止します。
※なお、もし過強陣痛が収まれば、引き続き陣痛促進薬の投与を再開する場合があります。
加えて、母体への酸素投与や、急速な分娩が原因の場合は一次的に陣痛を抑制するために、産婦の体位を側臥位や四つん這いにするなどの体位変換も実施します。

もし陣痛促進薬の投与を中止しても収まらない場合は、逆に塩酸リトドリン硫酸マグネシウムなどの子宮収縮抑制薬を投与します。
※塩酸リトドリン、硫酸マグネシウムは、一般的に切迫流産時の治療で子宮収縮を抑止するために使われる薬です。

もしこれらの処置でも過強陣痛が収まらない場合は、帝王切開術が行われます。

公開日時:2016-11-20 11:55:52

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