分娩室に行ってから出産までの流れ(経腟分娩、自然分娩の場合)

カテゴリ:出産の基礎知識
タグ:経腟分娩

分娩室に行くタイミング

分娩第1期である陣痛の開始から、子宮口が全開大になったタイミングで分娩室に移動します。

分娩室に移動後から娩出まで

分娩室に移動した後は、分娩第2期となります。
分娩第2期の所要時間の目安は初妊婦で2~3時間くらいです。

破水まで

まず、分娩衣、産褥ショーツに着替えた上で分娩室に入り、分娩台に仰臥位(仰向け)もしくは側臥位(横向き)で座らされます。
病院によっては、万が一の時のために、点滴を打てる準備をしたり、妊婦が酸欠状態にならないように、酸素マスクを用意したりします。
また、感染予防のために外陰部と大腿内側を消毒し、両方の下腿(膝から下)を足袋で覆います。

分娩台の上では、陣痛が進み破水するのを待ちます。
もし、なかなか破水しない場合、陣痛の誘発、促進のために、助産師さんが卵膜(胎胞)を破り、人工破膜させます。

分娩の開始

破水した後は、助産師さんの指示に従い、いよいよ「いきみ」を始めます。

ラマーズ法の実施

「ヒッ・ヒッ・フー」の呼吸法で知られるラマーズ法は、痛みを和らげるためのものですが、基本的には陣痛の波に合わせて、出来るだけ長くいきみます。
助産師さんがいきむタイミングや時間をアドバイスしてくれますので、それに従っていきめば問題ありません。

排臨

赤ちゃんの頭が腟口に見え隠れするようになった状態を排臨と呼びます。
この排臨の頃から、会陰部がどんどん伸びて行き、お産時の痛みはピークに達して行きます。

会陰切開

赤ちゃんの頭が出てき始めたら、会陰の裂傷を防ぐために、局所麻酔をした上でハサミで会陰を切開します。
但し会陰切開をするか、局所麻酔をするかは、病院により方針が異なりますので、事前にどうするのかを確認しておくのが良いでしょう。

発露

赤ちゃんの頭が完全に見えるようになった状態を発露と呼びます。
発露になると、赤ちゃんが一気に排出され、会陰を裂傷するのを防ぐためや、産道の赤ちゃんを締め付けないために、助産師さんはいきむのを一旦止め(いきみを逃がす)、短呼吸(短速呼吸)に切り替え、タイミングを取りながらいきむように指示します。

赤ちゃんの娩出

何回かのいきみの後に、赤ちゃんの肩が片方ずつ出て来て、その後赤ちゃんがスルリと出てきます。
生まれる瞬間について、よく例えられるのが、便秘のウンチを出す時と同じ感覚のようです。
本当にウンチが出る人も珍しくはないので、全く気にせず、ウンチが出てもいいくらいのつもりで、いきむのがコツのようです。

赤ちゃんの娩出後

赤ちゃんの誕生後は分娩第3期となります。
分娩第3期の所要時間の目安は初妊婦で15~30分くらいです。
誕生した赤ちゃんのへその緒を切り、タオルで軽く拭いた後、綺麗に洗います。

カンガルーケア

カンガルーケアを実施する場合は、娩出直後の赤ちゃんをタオルで軽く拭いた後、母親のお腹あたりに置いてくれます。
母親は生まれたばかりの赤ちゃんを間近で見ることができ、疲れや緊張も吹っ飛ぶ瞬間でしょう。
しかし、本当に注意しなければならないのは、この後かもしれません。

胎盤娩出

赤ちゃんの娩出後は胎盤の娩出になります。
胎盤が剥がれ、完全に排出されるまで分娩台の上で待ちます。
いきむように指示されたり、助産師さんが腹部を押してくれる場合もあります。
もしそれでも出て来ない場合、医師が子宮に手を入れ、直接胎盤を剥ぎ取る場合もあります。
これは胎盤癒着と呼ばれ、発生確率は0.01%と稀な疾患です。

会陰切開部の縫合

胎盤が完全に娩出されれば、医師が再び局所麻酔をした上で、切開した会陰部分を吸収糸で縫合します。

2時間程度分娩台で安静にする

胎盤娩出後も、念のために2時間程、分娩台の上で安静にしていなければなりません。

怖い分娩後異常出血

子宮弛緩や、子宮頸管裂傷により大量出血(分娩後異常出血)になる場合があります。
胎盤が剥がれた後の傷口(胎盤剥離面)からの出血は子宮が収縮する事で自然に止まります。
しかし、子宮の収縮が遅く大量出血になる場合があり、特に500ml(ミリリットル)以上の出血の場合は、異常出血と見なされ子宮弛緩出血と呼ばれます。

また、急速な分娩の進行等により、外子宮口から子宮頸管にかけての裂傷(子宮頸管裂傷)が大きく、大量出血になる場合もあります。
この場合は医師が子宮内を縫合して止血します。

上記のような事象が発生する場合もあるため、分娩後から数時間は注意が必要なのです。

入院室への移動

子宮からの出血も止まり、安全と判断されれば、ようやく入院室への移動となります。

公開日時:2013-08-17 23:39:31

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