「風疹」の胎児への影響とMMRワクチン(MRワクチン)の副反応

風疹とは?

風疹は風疹ウイルスによって引き起こされる病気で、症状は発熱と発疹で通常は軽度ですが、妊婦が感染した場合、ウイルスは胎児に深刻な先天性欠損症を引き起こす可能性があります。
新三種混合ワクチン(以下、MMRワクチン)は風疹から保護します。
※MMRは、麻疹(measles)、おたふく風邪(mumps)、風疹(rubella)の頭文字です。

日本の状況

日本では副反応の問題から、2006年4月よりMMRワクチンからおたふく風邪(mumps)ワクチンを除いた麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)が使われています。
従って、以降のMMRワクチンについての記述は、MRワクチンも含んでいます。

風疹の症状

風疹は、通常、小児における次の症状を引き起こします。

  • 発疹(顔から現れ、体全体に広がります)
  • 低発熱(38度弱程度)

これらの症状は最後の2~3日間に現れます。
発疹が現れる前には、年長の子供や大人は、風邪のような症状や、リンパ腺が腫れる症状が出る可能性があります。
また、特に若い女性の間で、多くのケースで関節痛が発生します。
なお、風疹にかかった人々の約半数は症状がありません。

風疹の深刻度

小児では、風疹は通常であれば軽度の疾患です。
稀なケースですが、深刻な問題が発生する可能性があります。
これらには、脳の感染症や出血の問題を含んでいます。
また、風疹は妊娠女性の胎児にとって最も危険な疾患です。
それは流産または、難聴、白内障、知的障害、および心臓疾患のような先天性疾患(先天性風疹症候群)を引き起こす可能性があります。
妊娠の最初の3ヶ月で風疹に感染していた母親から生まれた赤ちゃんの場合、100人中85人の多くの赤ちゃんが先天性疾患を持つことになります。

風疹の感染経路

風疹は感染者が咳やくしゃみをした時に広がります。
発疹が現れているときに風疹は最も伝染性があります。
しかし発疹が現れる7日以内前から伝染するため、まだ症状のない人でも、風疹を広める可能性があります。

MMRワクチンとは

MMRワクチンは、3つの病気(はしか、おたふく風邪、風疹)のためのワクチンを含みます。
これは、風疹ウイルスと戦うために自分の体を準備することによって風疹から子供を保護します。
殆どの場合MMRワクチンを2回接種することで、ほぼすべての子供(100人中、少なくとも95人)が風疹から保護されます。
※日本での接種費用は数千円~1万円

MMRワクチンを接種する時期

子供の最高の保護のためには、次の年齢でMMRワクチンの接種が2回必要です。

  • 初回の接種は12~15ヶ月
  • 2回目の接種は4~6歳

※他のワクチンと同時にMMRを接種することができます。

日本の状況

日本の場合、2006年4月より改正された予防接種法に基づき、次の年齢で2回のMRワクチンの定期接種が実施されています。

  • 第1期の接種は満1歳~2歳未満
  • 第2期の接種は就学前の1年間

MMRワクチンを接種する理由

MMRで子供に予防接種をさせることは、風疹(また他の2つの非常に伝染性のある麻疹とおたふく風邪)から保護します。
さらに、それは、集団の中での疾病の蔓延を抑制します。

MMRワクチンの安全性

MMRワクチンは非常に安全であり、そしてそれは風疹(並びに麻疹とおたふく風邪)の予防に効果的です。
一般的なワクチンでは、薬のような副反応を持つ場合があります。
しかしMMRワクチンを接種する殆どの子供には副反応はありません。
副反応が生じる場合でも、発熱や発疹など、一般的に非常に穏やかなものです。
MMRワクチンは、弱体化ウイルスから作られているため、子供の風疹、麻疹、おたふく風邪を発症させることはできません。

日本の状況

日本ではおたふく風邪(mumps)ワクチンの無菌性髄膜炎の発生率が予想以上に高かった事から、上述したように、2006年4月からは麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)が使われています。

子供がMMRワクチンを接種していない場合

MMRワクチンを接種せず、風疹ウイルスにさらされている子供たちは、病気になる可能性があります。
MMRワクチンを接種する前では、米国では50,000以上の人々が毎年風疹に感染していました。
ワクチンの接種後は、症例数が1000以下となり、大幅に低減しています。
風疹は、もはや米国では自然循環されていませんが、他の国では発見されており、風疹を持つ人々は、いつでも米国に旅行することができます。
※全く同じ事は日本でも言えます。
従って、風疹の流行はまだ予防接種をされていない人々のグループ間で発生します。

MMRワクチンの自閉症への関連性

まず、MMRワクチンと自閉症との関連性はありません。
MMRワクチンの多くの大規模で信頼性の高い研究は、米国および他の国々で行われています。
そのいずれでも自閉症とMMRワクチンの関連性は発見されていません。
人々が自閉症がワクチン接種に関連していると信じる理由はいくつかあります。
最初のMMRワクチンが与えられる歳の前後まで、時々自閉症の兆候が現れないために、子供が予防接種を受けた後すぐに自閉症と診断された場合、MMRワクチン接種が原因のように見えます。
一部の人々がMMRが自閉症に関連していると思っている、もう一つの理由は、1998年にイギリスで発表された論文です。
一人の研究者(アンドリュー・ウェイクフィールド)が、MMRワクチンは自閉症の発症に関連していると主張し、その研究のニュースは、多くの注目を集めました。
しかし1998年以降、13人の内の10人の共著者は、研究の支持を撤回しており、雑誌もそれを撤回しています。

MMRワクチンについての詳細を得るには

MMR(MR)または他のワクチンについての詳細を得るためには、小児科の医師に相談してください。

MMRワクチン接種の日本の事情と2013年の大流行

1994年の予防接種法の改正が施行される1995年4月より前までは、男性はMMRワクチンの定期接種対象ではなかったために、2013年、全国的に30~40歳代の男性を中心に風疹が大流行しています。
更に、予防接種法の改正で、1995年から風疹ワクチンの接種年齢が変更された関係で、1979年(昭和54年)4月2日~1987年(昭和62年)10月1に生まれた人の多くはMMRワクチンの接種を受けていません。
これは、1977年から女子中学生を対象にMMRワクチンが接種されていましたが、子供への接種で流行を抑制しようと、1995年4月から1~7歳半の男女に接種対象が変更された事によります。
この世代は『谷間の世代』と呼ばれ、これも2013年の風疹の大流行の要因の1つと考えられています。

情報元:
CDC 『PL-dis-rubella-bw-office.pdf』 (http://www.cdc.gov/Features/Rubella/)
国立感染症研究所 感染症情報センター 『風疹の現状と今後の風疹対策について』 (http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/2145-rubella-related/587-rubella.html)

公開日時:2013-05-07 16:18:23

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