「ポリオ」の予防接種と生ワクチンと不活化ワクチンについて
ポリオとは?
ポリオはウイルスの一種で、感染した場合、潜伏期間は1~2週間で、腸の中で増殖し、発病すると4日間くらい発熱、頭痛が起こり、それが収まると足や腕に脊髄性小児麻痺を引き起こします。
小児麻痺(脊髄灰白質炎)は、筋肉や神経など全身に麻痺を引き起こし、重症化した場合、全身麻痺になったり死亡する事もあります。
感染は主に小児が多く、小児の罹患率が90%を占めます。
ポリオの後遺症
ポリオの後遺症としては、球麻痺型、脊髄麻痺型、脊髄麻痺と球麻痺の両方を発症する型(脊髄麻痺・球麻痺型)があります。
「球麻痺型」は脳神経の筋肉が低下することで発音の障害や呼吸不全を引き起こします。
「脊髄麻痺」は主に脚などに、左右非対称の麻痺を引き起こします。
なお、ポリオによる麻痺の多く(約79%)は脊髄麻痺型です。
生ワクチンと不活化ワクチンの違いについて
経口生ポリオワクチン(以下、生ワクチン)は弱毒化した(病原性を弱めた)生きた状態のポリオウイルスを飲み、感染させ抗体を作ることで予防するため、極まれにですが、一定の割合で生ワクチンを接種することで麻痺性ポリオを発症する事があります。
そのため、日本では2012年9月1日からは不活化ワクチンが導入されました。
不活化ワクチンはポリオウイルスをホルマリン処理して殺し、免疫を作るために必要な成分を取り出したワクチンです。
そのため、生ワクチンとは異なりポリオの症状を発症する事はありません。
ちなみに不活化ワクチンは注射による接種になります。
何故2012年9月1日以前まで生ワクチンが使われていたのか
不活化ワクチンが安全なのなら、何故最初から不活化ワクチンを使わなかったのか?
これは誰もが思う疑問ですが、まず、日本でも1961年から日本製不活化ワクチンの定期接種が開始されていました。
しかし、旧不活化ワクチンでは十分な免疫が得られない事があり、検定に合格しなかったため輸入不活化ワクチンに頼っていましたが在庫が尽き、そこで旧ソ連から生ワクチンを輸入したという経緯があります。
しかし1980年代に、改良された強化型の不活化ワクチンが出てからは、日本以外の殆どの先進国で承認され使われていました。
それにも関わらず、日本では2012年9月1日以前まで生ワクチンが使われていたのは単純に日本(厚生労働省)の承認が遅かっただけです。
※これについては小宮山厚労相が「経口生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンへ切り替える決断が遅かったと思っている」との見解を示しています。
予防接種の回数と期間と間隔
不活化ポリオワクチンは次の回数、期間、間隔で接種します。
回数 | 期間 | 間隔 | |
---|---|---|---|
初回接種 | 3回 | 生後3ヶ月から12ヶ月 | 20日から56日 |
追加接種 | 1回 | 初回接種から12ヶ月から18ヶ月後 | 最低6ヶ月後 |
※上記の期間を過ぎた場合でも、生後90ヶ月(7歳半)までは接種できます。
つまり合計で4回接種する事になります。
なお、3回の接種でほぼ100%の免疫抗体が作られ、その免疫は一生続きます。
公開日時:2012年11月24日 01時29分
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