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「つわり」や「妊娠悪阻」による合併症の原因と初期症状および予防法

カテゴリ:妊娠の基礎知識
タグ:妊娠疾患

妊娠悪阻とは?

妊娠悪阻はつわりが重症化したものですが、妊娠悪阻自体は妊娠が正常に経過している徴候であり異常ではありません。

つわり

つわりは、妊娠に伴う悪心嘔吐などの消化器症状を主体とする病態です。
妊娠5週頃から発生し、妊娠16週頃に収まります。

悪阻

悪阻は頻繁な嘔吐による持続的な体重減少(5%以上)が起こり、脱水症状飢餓状態に陥った状態です。
※飢餓状態とは「尿中ケトン体陽性」を意味します。
適切な処置を行わなければ、不可逆性の精神障害を発症する可能性があります。

合併症

ウェルニッケ(Wernicke)脳症

ウェルニッケ脳症はビタミンB1の欠乏により引き起こされる重篤な合併症です。
ビタミンB1の欠乏により視床や乳頭体に不可逆の変化を生じ、眼球運動障害失調意識障害の3つを主な症状とした神経症状を発します。
難治性の疾患であるため、予防が何よりも重要になります。

深部整脈血栓症

妊娠悪阻に伴う脱水症状や長期臥床により下肢深部静脈血栓を生じます。
重症になると下肢の発赤(ほっせき)腫脹が見られます。

原因は?

主な要因として、以下の2つが挙げられます。
  • 妊娠によるホルモン変化に伴う内分泌的要因(ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の増加)
  • 精神的要因(大きな精神的負担)

妊娠悪阻から生じる合併症

悪阻による嘔吐、摂食障害により、脱水・電解質異常や飢餓状態を生じ、それらから更に以下の病気を発症し、悪化すると最終的にウェルニッケ脳症を引き起こします。
この妊娠悪阻からの様々な合併症は、胃液の喪失、水分、糖分、ビタミンB1の不足を発端として生じていることが分かります。
特に、水分、糖分、ビタミンB1不足は、悪化すると最終的にウェルニッケ脳症に至ります。
  • 嘔吐による脱水・電解質異常
    1. 胃液の喪失
    2. 低Na、K、CI血症
    3. 代謝性アルカローシス
    1. 水分の喪失
    2. 脱水
    3. 血液濃縮(ヘマトクリット上昇)
    4. 末梢循環不全
    5. 肝・腎障害
    6. ウェルニッケ脳症
  • 摂食障害による飢餓状態
    1. 糖の不足
      1. 脂質分解
      2. ケトン体増加
      3. ケトーシス
      4. 代謝性アシドーシス
      5. ウェルニッケ脳症
      1. 蛋白分解
        1. 窒素代謝物増加
        2. ウェルニッケ脳症
        1. 低蛋白血症
        2. 胸水・腹水の貯留
    1. ビタミンB1不足
    2. ウェルニッケ脳症

初期症状は?

妊娠5~6週頃から持続的なつわりが起こり、嘔吐による脱水症状、摂食障害による飢餓状態を引き起こしします。
つわりや悪阻は、妊娠12~16週頃までには軽快します。

なお、妊娠9週以降に初発した場合や、発熱や頭痛を伴う症状の場合、他の原因による疾患が疑われます。
悪阻と似たような症状を持つ疾患(鑑別疾患)としては以下が挙げられます。

  • 急性虫垂炎
  • 十二指腸潰瘍
  • 肝疾患
  • 腸閉塞(イレウス)

出産や胎児へのリスクは?

妊娠悪阻や食事摂取障害は胎児の発育の妨げにはなりません。
但し、悪阻が悪化して全身症状が著しく悪化した場合、人工妊娠中絶が必要になる場合があります。

発生する確率は?

全妊婦の約1%で発症し、特に初産婦に多い傾向があります。

予防方法は?

嘔吐による脱水症状や電解質異常、摂食障害による飢餓状態を防止する必要があり、少量頻回の水分補給、食事摂取が基本になります。
また、ウェルニッケ脳症の予防のためにビタミンB1の摂取も大切です。
悪心などの消化器症状の改善のためには、ビタミンB6しょうが粉末も有効とされています。

食事での予防方法としては、以下を心がけます。

  • 少量頻回の食事や水分摂取(空腹や満腹の状態を避ける)
  • 食事は炭水化物(糖質)を中心にする
  • 低脂肪食にする
  • ビタミンB群の摂取
食事以外では、以下を心がけます。
  • 禁煙(喫煙は悪阻症状を増加させる)
  • 臭いに敏感になるため、臭いの強いものや香辛料の多いものは避ける
  • 食事後は胃からの食物の逆流の防止のためセミファウラー位(上半身を15~30度起こした姿勢)や座位(上半身を90度起こした姿勢)で安静にする
  • 便秘の予防のためにこまめな水分補給
  • ゆったりとした衣服を着用する

検査方法は?

主に以下の検査項目や症状の有無について注視します。
  • 悪心や嘔吐の程度の確認
  • 尿量や尿中ケトンの増加
  • 発熱
  • 頻脈などの脱水症状
  • 血液濃縮(ヘマトクリットの上昇)
  • 電解質異常(Na、K、CIの低下)
  • 肝機能障害(ALT、ASTの上昇)
  • 代謝性アシドーシス
  • 精神症状
  • 下肢の違和感の有無
  • 疼痛の有無

治療方法は?

代謝異常による全身状態が障害された場合、入院が必要になる場合があります。
また、脱水症状の程度によっては輸血による水分や糖質の補給、ビタミンB1の投与が行われます。

公開日時:2016-09-04 14:24:15

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