「血液検査」のみで「ダウン症」の診断(新型出生前診断)が可能に!

概要

これまではダウン症を含む染色体異常(トリソミー等)の出生前診断は羊水検査でしか診断ができませんでしたが、新型出生前診断(NIPT)により血液検査のみで容易に診断ができるようになりました。

羊水染色体検査(以下、羊水検査)では子宮壁に針を刺して羊水を採取するため、0.3~0.5%と稀ではありますが、胎児が死亡(流産)することがありました。
確率は低いですが、自分がその一部の例に該当しないという保証はありませんし、可能性が0ではないという事は母親にとっては精神的に大きな負担となります。
その不安、恐怖心から、実際に羊水検査を実施しない妊婦は多くいるのが現状です。

その意味でこの新技術は革新的で画期的なものです。

検査の仕組み

妊婦の血液を採取し、血液に含まれる胎児のDNAを分析することで、DNAの異常の有無を確認します。
ダウン症は21トリソミーという染色体異常(染色体の21番目が1本多い)です。
そのため、DNAを調べることでダウン症の診断が可能なのです。
なお、診断できるのはダウン症を含め具体的には以下の3種類の染色体異常になります。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトー症候群)

トリソミーの詳細については「「染色体異常症(トリソミー)」(ダウン症候群を含む)について」をご参照ください。

検査のリスク

血液検査のみであるため検査のリスクはほぼありません。
また、ダウン症を含むトリソミーの診断精度は99.1%とかなり高く、殆ど誤判定もないと考えていいでしょう。
※18トリソミー(エドワーズ症候群)の検出率に関しては100%とのアメリカの報告があります。

懸念点

採血という比較的簡単な方法でダウン症の診断が可能であるため、ダウン症検査の実施が促進される一方、妊娠中絶者の数も増える可能性があります。
但しこれは二次的な懸念であり、胎児の異常を事前に知り、妊娠中絶をするか産むかを判断するのは夫婦で決めるべき事です。
その選択に迫られるのが苦痛であれば検査をしないという方法もありますが、当然ですが万が一染色体異常で生まれてきた場合でもきちんと育てる責任がある事、また18トリソミー(エドワーズ症候群)などで夭逝する可能性がある事を承知の上でという事になります。

検査を受けられる時期

妊娠10~14週(胎齢8~12週)頃です。
また診断結果は早ければ採血した日か翌日には分かります。(但しアメリカの例)
ちなみに羊水検査は妊娠15~18週頃に実施します。
そのため、結果が陽性だった場合、羊水検査に比べて心の準備、あるいは判断するまでの時間は多く取れます。

検査を受けられる場所

この記事を記述している現時点では、日本国内では「国立成育医療研究センター」と「昭和大病院」の2病院のみです。
※但し現時点では試験的な実施になります。

検査の費用

費用は21万円程度のようです。

公開日時:2012-09-04 21:36:59

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