「早産」とは?早産指数5点以上では早産に至る可能性が非常に高い?

カテゴリ:出産の基礎知識
タグ:妊娠持続異常

早産と切迫早産とは?

早産

早産は妊娠22週以降から37週未満の分娩と定義されています。
※妊娠22週未満は流産になります。
周産期死亡(先天奇形、染色体異常を除く)の約70%が早産に起因しており、脳性麻痺などの合併症の頻度も高いです。

切迫早産

切迫早産は子宮収縮や子宮頸管の開大と展退が進行し、早産となる可能性がある状態と定義されています。

原因は?

早産の主なリスク因子は以下のリストのとおりです。
特に、早産既往を有する女性の場合、次回妊娠時の早産の危険性は2.5~4倍に高まります。

  • 妊娠分娩既往歴
    • 後期流産
    • 死産
    • 早産
    • 子宮頸管無力症
    • 習慣流産
  • 妊娠時の異常
    • 細菌性腟症
    • 多胎妊娠
    • 子宮筋腫合併
    • 子宮奇形
    • 感染症(尿路感染、肺炎)
    • 羊水過多
    • 抗リン脂質抗体症候群合併
  • 喫煙者

早産因子の内訳としては、絨毛膜羊膜炎を中心とした子宮内感染症や前期破水、子宮頸管無力症、多胎羊水過多に伴う子宮の過伸展が多く、子宮奇形子宮筋腫などの子宮形態異常も多く報告されています。
とりわけ、妊娠32週未満の早産においては、絨毛膜羊膜炎と前期破水、子宮頸管無力症が大半を占めます。

子宮内感染の発生機序

子宮内感染の発生機序は以下のとおりです。
細菌性腟症→子宮頸管炎→絨毛膜羊膜炎→臍帯炎および子宮内胎児感染

絨毛膜羊膜炎

早産の半数以上において、絨毛膜羊膜炎を中心とした子宮内感染症が見られ、早産の主原因となっています。
子宮内感染が生じる感染経路は、細菌性腟症、子宮頸管炎などに起因した上行性感染、妊娠前から存在する慢性的な子宮内膜炎や子宮付属器炎、骨盤網膜炎が関係するとされています。
感染し、局所的な炎症が起こるとサイトカインを介してプロスタグランジンやマトリックスメタロプロテアーゼなどのコラーゲン分解酵素が多く産生され、子宮収縮が誘発され子宮頸管が熟化し卵膜の脆弱化によって前期破水が発生します。

子宮頸管炎

子宮頸管炎は、「子宮内感染の発生機序」のとおり、絨毛膜羊膜炎に移行するリスクが高く、また、子宮頸管炎自体も子宮頸管の熟化や卵膜の脆弱化を招き、前期破水を引き起こします。
子宮内膜炎が陽性の場合は抗生物質を中心とした治療が行われます。

子宮頸管無力症

先天的な子宮頸部の脆弱化や前回の出産時の子宮頸部の損傷が原因となり、子宮収縮を伴わずに子宮口が開大する病態です。
他に、子宮頸部円錐切除術が原因になることもあります。
治療方法は、子宮頸管縫縮術が用いられます。
但し、子宮内膜炎を伴う場合は抗生物質による治療が行われます。

前期破水

早産の3分の1は前期破水を合併します。
またその多くは絨毛膜羊膜炎を中心とした炎症反応に伴う卵膜の弱体化によって生じます。
前期破水を呈した場合、時間とともに子宮内感染のリスクが高まるため、より迅速な子宮収縮抑制薬の投与や予防的抗生物質の投与による妊娠延長のための対処が重要になってきます。

発生する確率は?

早産の日本での発生頻度は約5%です。
多くは妊娠32週以降に発生します。

検査方法は?

早産の診断においては、規則的な子宮収縮と破水の有無、子宮頸管の短縮および子宮口の開大傾向などから総合的に評価します。
これらの所見を点数化した早産指数により重症度を判定します。
合計が5点以上の場合、早産に至る可能性が極めて高く予後不良となります。

早産指数

01234
子宮収縮無し不規則規則的
破水無し---高位---低位
出血無し点状出血
子宮口開大無し1cm2cm3cm4cm以上

公開日時:2016-07-27 13:55:17

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