「B群溶連菌感染症(GBS)」とは?会陰部を介して腟内に感染?

カテゴリ:妊娠の基礎知識
タグ:母子感染症

B群溶連菌感染症とは?

B群溶連菌感染症(B群溶血性連鎖球菌感染症:GBS)は、約3分の1の成人の腸管内に存在する常在菌です。

感染ルートは?

GBS陽性の場合は、腸内に常在しているため、会陰部を介して腟内に感染します。
妊娠中における、腟から直腸にかけてのGBSの検出率は15~30%です。

初期症状は?

稀に膀胱炎などの尿路感染症を起こすことがありますが、殆どは無症状です。

出産や胎児へのリスクは?

GBS感染による母体側のリスクは殆どありませんが、新生児が感染した場合、敗血症や髄膜炎、肺炎の発症による胎児死亡や、髄膜炎の後遺症として、聴力や視力喪失、運動障害や学習障害などの後遺症のリスクがあります。

新生児GBS早期型感染症

出生から7日以内に発症した場合を早発型、それ以降の発症を遅発型として区別します。
特に出生から6~12時間以内の発症の場合、呼吸窮迫症状や無呼吸、ショックを発症する可能性が高くなります。
なお、新生児GBS早期型感染症の50~80%は出生当日に発症します。

予防方法は?

新生児GBS早期型感染症の予防方法として、産婦人科診療ガイドラインでは以下を記しています。

  • 妊娠33~37週に腟周辺の培養検査の実施

  • 前児がGBS感染症の場合やGBS陽性妊婦は、経腟分娩中や前期破水後にペニシリン系薬剤の静脈投与

但し上記のガイドラインに従っても、必ずしも新生児GBS早期型感染症が予防できるとは限りません。

検査方法は?

妊娠33~37週に腟周辺や直腸内の培養検査を実施することで感染有無を確認します。

治療方法は?

ペニシリン系の抗生物質の投与でGBSを排除します。
但し、完全には排除できず、通常は抗生物質の投与終了後、腸内で再び定着します。

公開日時:2016-06-05 17:57:25

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